2020年1月25日、26日の二日間、熊本県の水俣市で「全国有機農業の集い」
(「第48回 日本有機農業研究会 全国大会総会」と「第27回 九州・山口有機農業の祭典」の合同大会となっていました)が行われました。
僕は有機農業者ではなく、公民館の主事として“有機農業”と“水俣病”の現状を知ることで、地域でどのように動いていけばいいのかを学ぶために、参加することになりました。
吉賀町からは15人で行きました。
水俣病は食品問題
大会のスタートは、4名のリレートークからでした。
トップバッターの、水俣でチリメン漁師をされながら、無農薬の甘夏を栽培し、さらには水俣病の語り部をされている杉本肇さんが、冒頭に「チリメンは大きくなったら何になるかわかりますか?」と会場の皆さんに問いかけました、僕も一瞬「ん?なんだったっけ?」と思いましが、「まあ、カタクチイワシだったよなぁ」と心の中で思っていると、杉本さんは面白い話をされました。「ある時、小学生達に同じ質問をすると、一人の子が、“大きくなったら、チリメンじゃ”と答えたんです。その子いわく、“チリメンジャコの大人だから、子が取れてチリメンになるんじゃ”ということだそうです。」
子どもって面白い発想をするなぁ〜と感心しました。
ただし、この話は今回の趣旨とは関係がありません(笑)。
「水俣病」は、場所も熊本だし、時代も全然違うために、学校の授業の中での“歴史事件”としか考えたことはありませんでしたが、杉本さんのお話を聞いた後では、
「水俣病は食品問題であり、食品問題ということは自分の問題である」ことを認識することができました。
自分の知らないところで食料が脅かされている(文字多めw)
開会式が終了した後は分科会でした。地元の町職員のお話や、より踏み込んだ水俣病の話など魅力的な会がたくさんありましたが、僕は「種とグリホサート等農薬規制緩和を考える」に参加しました。話題提供者は、安田節子氏(食政策センタービジョン21)、宮部和雄氏(くまもとのタネと食を守る会)でした。僕は以前から安田節子氏のお名前だけは聞いたことがあったため、非常に関心があり参加したところ、予想以上に興味深いお話を聞くことができました。
- 知らないうちに遺伝子組換え作物を食べている危険性がある
- 日本はゲノム編集食品を促進している
- 有機の食事が体内の農薬を浄化させる
知らないうちに遺伝子組換え作物を食べている危険性がある
遺伝子組み換え食品は、作物が本来持っている遺伝情報を組み替えて、害虫を駆除する成分を出すようにしたり、農薬を散布しても耐えられるような作物に作り変える技術です(まだまだ知識が乏しいので、間違っていたらご指摘下さい)。
スーパーで買ってきた食品のラベルを見てみると、原材料にカッコ書きで「遺伝子組み換え食品ではありません」と書かれていますが、輸入作物の大半は表示義務が無いので、日本にはどんどん入ってきているとのことです。TPPが批准された後は、規制するどころか拡大されています。
僕はここで、「どうして、遺伝子組み換え食品(GM食品)は良くないのか?」と素朴な疑問を持ちました。ちょうど疑問を持ち始めたところから、具体的な危険性の話が始まります。2011年にカナダでは、妊婦の血液からGM殺虫毒素が検出されました。そして、ロシアとフランスで実施されたラットへの実験では、GMの餌を与え続けると死亡することが明らかになりました。
あくまでも動物実験の結果ですが、GM食品は生物に悪影響を及ぼすことが考えられるため、諸外国では規制を強めています。ですが、日本は世界に逆行して、促進しているということなのです。
日本はゲノム編集食品を促進している
ゲノム編集食品は、新しい技術でまだ動物実験による安全性の評価は何もされてはいません。日本では、成長が早いトラフグや、GABA(ストレス緩和や血圧上昇を抑える)を大幅に増やしたトマトなどが開発されているんですよね。
怖い話が、ゲノム編集食品は遺伝子組み換え食品とは別物であることから、アメリカでは「これはGMではない」として販売されているそうです。
GM作物を栽培する時にはラウンドアップ(除草剤)が使用されます。ラウンドアップの主成分は、分科会のタイトルにも書かれいてる「グリホサート」なんですね。そして、このグリホサートには発がん性があると考えられるようになりました。アメリカでは裁判が開かれ、320億円もの賠償金が支払われる判決となりました。そのような状況下に置いて、ここでも日本は世界とは逆行して、作物に含まれるグリホサートの基準値を大幅に緩和しました。
そのようなことは全く考えたことがなかったのですが、スーパーやコンビニで売っているパンには、当たり前のようにグリホサートが検出されています。知らないうちに、身体の中に農薬が蓄積されていたのだなと思うと、怖いですね。
有機の食事が体内の農薬を浄化させる
このままではネガティブな話で終わってしまうので、希望のある話を1つ。
加工食品を食べて、農薬が蓄積されたとしても、有機の食事を1ヶ月間続けると、94%は体外へと排出されていくのだそうです。
つまり、有機農業が盛んな柿木村に住んでいる僕の身体は現在、キレイな状況にあるということです(笑)。ここでようやく結びつきました。
最後に、日本が生き残る道としては、「“有機・無償の学校給食条例”を制定させること」として締められました。
今大会の一番の目玉!!!
分科会の次は、お待ちかねの食事会です。
有機農業者の集まりとあって、料理はやはり有機野菜です。ビーガン料理も用意されていました。高齢の方が多いと言っても、農業者なのでみんな食べる食べる。あっという間に料理はなくなっていきました。僕もたらふく食べて幸せでしたね(笑)。
食事を食べていると、たまたま分科会の講師をされていた安田節子さんが近くに来られたので、お話することができました。それだけでも何だか今回参加した意義があったなと感じ、とても充実した時間でした。
宴もたけなわで、食事会は2時間ほどで終わり、宿泊先に帰ると、今度は2次会がありました。そこでは食事会ではなかったアルコールも用意されていたので、おじさんたちはご満悦の様子でしたね(笑)。僕はアルコールよりもご飯が好きです(どうでもいい)。
そんなこんなで、2次会でも皆さん大盛り上がりで、めちゃくちゃ熱い有機農業者たちがたくさんいるんだということを感じました。
誇りを持って、有機作物を作っている人たちはカッコいいです。
ここまでが1日目です(笑)。
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